ITSS(ITスキルスタンダード)準拠のスキル評価システム
成果主義人事制度を導入された会社(グループ従業員2万名)の事例です。
この会社では数年前から、コンピテンシーやバランススコアカード連動型目標管理を導入されていました。その後の人事運用の中でコンピテンシーと目標だけでよいのか、技術者や専門職が目標とできるようなモノサシが必要なのではないか、という問題意識をもたれていたようです。開発や技術、マーケティングの現場でも、スキル評価の仕組みが様々な形で志向されていました。
人事企画スタッフの方々とスキル評価についてのディスカッションをしていると、能力主義に戻ってしまうのでは、という不安感がときどき私の脳裏をよぎりました。そのような状況にあって、スタッフの方々と私とで何度も検討を重ね推敲しました。そして05年度にはまず管理職クラスから導入されました。
このプロジェクトの途中で感じたことですが、ITSSに準拠するスキル評価では、気をつけないと「大きなプロジェクトを扱う人の能力が高い」というような表現になりがちだ、ということです。つまり「規模の大きさ」だけで能力の違いを表現してしまう危険性があるということです。これでは規模の大きいプロジェクトが担当できない人にとって、能力開発のモノサシにはなりません。能力開発を阻害するのは、そのようなプロジェクトを担当させてくれない上司、ということになりそうです。
またスキルやコンピテンシーの関係整理にも時間がかかりました。気を付けないと「屋上屋を重ねる」という複雑な評価システムになりそうです。ですが各人が具体的なスキル目標としてモノサシを整備することには大いに意味があることだと感じています。
能力主義からの脱却、その後の成果主義導入、コンピテンシー導入という流れの中で、知識・スキルというものが過小評価されたのかもしれません。成果主義がうまくいっていないから、能力主義に回帰すべき、などという単純に提案するものでのありません。
しかしメンバー各人がどのように能力を開発していくのか、ということについて考えたとき、そこに提示できるモノサシはあっても良いのではないか、と考えています。
文責:田辺和彦
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