ハイブリッド型の経営・人事管理システムの必要性 ~その注意点~
今の目標管理制度は「組織目標達成」「人事考課・業績評価への反映」「社員の能力開発」と3つの目的を持たせているところが多い。
その意味で、エンジンが3つあるハイブリッド自動車のようなものだ。社員の側の分かり易さから考えると、一つの目的の為に一つの制度、つまり単機能なシステムを幾つも使う、ということもあるかもしれない。
しかし、いくつものシステムを使うよりは、複数の目的をもったシステムを一つ使う方が、時間効率は高まるはずだ。問題は、ハイブリッド型だと目的が見えにくくなることだ。
何をいつ、どんなタイミングで入力すべきか、出力すべきか、このようなHowToは指導し理解させられても、Why、何のためにこのシステムを運営しているの? 目的は何なの? という部分が見えにくくなっている。
だから「使いたいと思って使っている人」「自分の成長につながると思っている人」が少ない。与えられた管理ツールだから、ルールだから、仕方なく、という感じの人が多い。
一方、システムの企画者、スタッフ、トップマネジメントは導入にあたって散々検討しているから、自分たちにとってはシステムの目的、Whyは自明だ。言わずもがな、という状態になっている。
だからつい、システムの導入時、運用時に、Whyの説明をはしょってしまう。目的についての認識格差がシステムの導入効果を下げる大きな原因だ。
システムそのものの良し悪しもあるだろう。しかし経験から言うと「目的の理解度」、そこへの「情熱」「熱さ」の違いが、システムの効果を大きく左右する。特に、目標管理や人事評価など、ITが業務の一部しかカバーできないシステムはなお更である。
・設計時には、目的を意識せざるを得ないようなシステム名、レポート名など工夫をしたい。
・導入時には、制度・システムの目的・効果を強調したい。
・運用時には、上司やスタッフ部門は、その目的を部下に確認し続けたい。
例えば、目標管理システムでいえば「組織目標達成」や「人事評価」だけではなく「本人の能力開発」という目的、Whyを意識させたい。
それが不十分な組織では「目標管理は上司の目標達成のためにやらされている」という認識を持つ社員も少なくない。
文責:田辺和彦
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