②<指示・命令の要訣>相手の能力をよく読む
指示・命令は実行へ向けた最終段階を飾るマネジメント行為です。
指示・命令されたことは、実現されなければ意味がありません。実行を担当する人に、命令の趣旨を伝え基本的に仕事を任せていくにしても、最終的な結果に対する責任は上司にあります。
人間はどうしても自分を基準にものを考えがちです。さらに上司のポストについた人は、そうなる前には大抵の場合デキル社員だった方がほとんどでしょう。このふたつが影響してか、指示通りに動かない状況に陥った場合に、一方的に部下をしかりつける傾向があります。
これは間違いです。自分がデキルことと人に教えられることは違います。自分が預かった職場や職場のメンバーをあなたは育てていますか?育てる前提として、ひとりひとりの能力を把握していますか?仕事への関心が高い人は、人への関心を同時に持ちましょう。
能力というときにテクニック(技術)とスキル(技能)は、まったく違います。自動車の運転免許をもっている方は、自動車学校へ通ったことを思い出してください。テクニックは、自動車学校の側にあります。当然、教官はそのテクニックでもって実際に自動車を運転でき、しかもそれを人に教える技能を身につけています。つまり技術は知識で、技能はそれが身についた状態を意味するのです。ここを間違ってしまうと「自分がこうだから、人もそうだろう」の自分中心の論理に陥ってしまいます。
自動車学校の教官ができない生徒をダメだと叱るだけでは、仕事になりません。上司は同時によい教育者でもあります。職場のメンバーのひとりひとりの特徴をよくつかみ、どうすればその能力を花開かせることができるのか、あるいは弱点をカバーすることができるのか、チームを編成する際は、どうメンバーを組み合わせて役割を決めれば、チームは力を発揮するのか、よく考えましょう。「笛吹けど踊らず」は不徳の致すところではなく、相手の能力をみて指示していないからです。