松井社長
イニシアティブを発揮するには、先見性があるかどうかが大きなポイントになる。
先見性とは未来をどうみるかという能力である。すると、未来をどうやって把握するのか?まさに超能力が必要なのではないか、ということになってしまう。ビジネスで成功している人でも、超能力があったから成功したという話は聞いたことがない。今の科学では、未来の把握はまだ無理なようである。
では、その先見性とはどういうことなのであろうか?数年前に松井証券の松井社長の講演を東京フォーラムで聞いたことがある。そのとき、松井社長が言っていたことが印象に残っている。「90年代、ネット証券にころもがえした松井証券が、なぜその時ネット証券に移行できたのか?」「証券会社としてのこれまでの伝統的営業マンによる営業活動を一切打ち切り、インターネットになぜ特化できたのか?」「まだ、いまほど普及していないインターネットによる株式購入を、これほどまでに普及することを予想しえたのか?」等の質問を多くの人からされるという。その時の松井社長の答えは、「まさかこんなにもインターネット証券が成功するとはまったく思わなかった。」ということである。
「では、なぜ、ネット証券への特化を決断したのか?」ということであるが、それは「そのとき会社の業績が落ちこみ、もうこのネット証券しか活路が無かったから...」ということである。「でもよく決断しましたね。」というと「それが経営者の孤独な決断です。」ということであった。なかなか凡人にはできないことである。
未来なんて誰もわからない。そのわからないことを決断していくのが経営者である。