地域開発の決め手は、類似的資源の差別化分析
地域活性化をはかるために来年度から「地域名産品」開発に補助金を支給するという記事が、先日の日本経済新聞(10月2日付け2面)に掲載されていました。
地域格差の解消といえば、やはり観光と名産品の開発に落ち着くのかという感じもします。ただ、観光開発とおなじ難しさが、名産品の開発にもつきまといます。観光や名産品開発の基本は地元資源の活用ですが、単なる地元資源の活用ではきわめて類似的な開発に終わることになります。地形・気候風土がにかよった地域では、必然的に同じような資源にならざるをえません。そうすると、類似した名産品が全国各地に誕生するだけで、注目を浴びるような新商品の開発にはつながりません。
地域活性化として今年4月に始まった地域団体商標制度「ブランド食材」をみても、食品関係だけで350種以上の出願はありますが、地元資源をそのまま活用するタイプのものが大半で、差別化に向け知恵を絞ったような商品はほとんどありません。地元の野菜・味噌・肉をそのままブランド化しているにすぎないようです。最近、類似的商品ばかりと思われるヨーグルト(乳酸菌飲料)市場でヒット商品がうまれています。カゴメの開発した『植物性乳酸菌ラブレ』です。従来からのヨーグルトの乳酸菌は動物性のものが主流でしたが、植物性にすることで独自性を作り出しています。地域ブランド食材や名産品の開発にも、このような差別化が求められます。
類似的資源の差別化をはかるうえでもっとも重要になるのは、資源の分類・比較です。資源に関連する知識・情報を分類・比較して、独自のポジショニングを見つけ出すことです。名産品開発の資料をみても地元資源の活用が優先され、活用できる資源の内容についての分析が中心です。類似的資源との比較・差別化については、さほど議論されていない印象がします。類似的な資源の中でいかに独自性を作り出すかの分析をおこなうことが、観光であれ名産品であれ、地元資源活用の基本になります。