アイデア発想と論理的思考の限界
脳トレブームはとどまることをしらず、いまや塗り絵が書店の売り場を占拠しています。
話題になればなるほど、本当に脳トレは効果があるのかといった疑問がわいてきますので、脳科学に関する本を集中的に読んでみました。(読みやすくて、面白かったのが新潮新書『ひらめき脳』茂木 健一郎です)その結果、脳トレの効果については解明できませんでしたが、脳のメカニズムとアイデア(新しい概念)発想の関係がよくわかってきました。アイデアは、頭の中にある知識を材料とする脳の編集作業によって生まれ、そのプロセスを簡単にまとめると次のようになります。
① アイデアとは、既存知識の新しい組合せである
② 脳には知識を編集する機能が備わっている
③ 編集機能は、脳に蓄積されている知識の量に比例する
④ 編集機能とは、知識の分類・比較・組合せである
⑤ 編集機能は、顕在意識と潜在意識の両面で働く
⑥ アイデアは、潜在意識下での脳の編集機能から生まれることが多い
ビジネスの世界では、いかに論理的思考からアイデアや新しい概念を作り出すか、ロジカルシンキングが注目されています。一方、脳科学の本を読むと、アイデアや新しい概念の発想については、脳のメカニズムによる編集機能から生まれるとなります。それも、アイデアの発想が潜在意識下の脳の編集作業に左右されるとすると、自由にコントロールできなくなります。論理的に考えることを繰り返しても、アイデアが浮かばす苦悶する理由もわかります。
潜在意識下での脳の編集機能を働かせるためには、最後は意識・意欲といった人間らしい要素も関係するようです。アルキメデスやニュートンの発明神話は、課題に賭けた情熱が潜在意識下で脳を刺激し、なにかをきっかけに突然働きだすことの証明となります。論理的思考がビジネスの基本であることはたしかです。おそらく、顕在意識での脳の編集作業による論理的思考がベースになって、それに連動して潜在意識下の編集機能が活性化することからアイデアが生まれると理解できます。論理的思考だけでは、アイデアや新しい概念を発想することは難しいようです。