営業部門で目標管理制度が機能しなくなる原因~その2 わり算だけの目標設定~
営業部門で目標管理制度が機能しなくなる原因:その2 わり算だけの目標設定
営業部門で目標管理制度が機能しなくなる原因として次のような原因が考えられる。
1.目標に対する納得性の低さ(無理だと感じる)
2.わり算だけの目標設定
3.評価を意識しすぎた運用
4.浅い振り返り
ここでは二番目の原因について述べたい。例えば営業課長が次のような目標を持っていたとしよう。
1)売上高 10億円
2)新規顧客開拓 20社
3)回収 100%
4)○×新製品売上 2千万
この課長が部下に対して、全部、自分の目標を割りつける。もっとも単純には頭数でわり算をして目標として与える。
このやり方、特に「頭割り方式」は簡単だ。また一見、公平だ(市場に立脚した目標設定ではないので、本当の意味での「衡平(こうへい)」とは言い難い)。
※渋々納得はするものの、小さな顧客や市場を担当している人などは、頭割り方式で「公平」とは感じない。
この方式は長期的には、更に大きい問題を抱え込む。
最も大きな問題は、目標設定の際にメンバーが考えなくなる、という部分にある。この期における市場環境の変化、自社や自分自身、ライバルの戦術などに気が回らなくなる。考えて目標設定しないから、目標に身が入らない。
「振り返り」が浅くなる。すなわち、目標を回せども回せども、本人自身に成長をもたらさない。
この方式で運営すると、マネジメント能力が確実に弱体化する。
・個別の市場を分析せずに済む。
・各人の能力やモチベーションを気にかけなくても済む。
・目標をわり算で決定した時点で、マネジメントの気がゆるむ(あとはメンバーの努力次第、という気分が生まれる)
ということは、ひっくり返せば、それらの能力すなわちマネジメント能力が育たない、ということになる。
二番目のことが原因で目標管理制度が機能していないなら、次のようなことを試してほしい。
1)幾つかの目標は、個人の戦術を表現した目標とさせる
例:○×地区で製造業新規顧客を2社以上開拓する
2)目標をどうしても分割して、個人目標とする必要がある場合は、「今期の個人計画数値を達成する」と一括りにして、別のシートで達成度の管理を行う。
3)個人の担当する市場を本人と管理職がよく分析し、それに見合った目標値を設定する(公平から衡平へ。考える目標管理へ)。
文責:田辺和彦
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